まずはじめに。
先日6/9に、trattoriw auntei - トラットリワアウンテイがオープン致しました。
思い起こせば前回のブログでも書いていた通り、非常にタイトでフル稼働な現場でした。
無事、引き渡しが出来てホッしながらも、ゴソゴソ仕事に追われています。
今回、プランニングやコンセプト、基本設計はすべて任せて頂けたので、非常にスムーズに設計推進できました。
鰻の寝床の様な奥行き20Mの現場だったので、1つの店の中に4つのSHOPを造るイメージでコンセプトを決定し、カジュアルなスタンディングバールからゆっくりくつろいで楽しめるサロンスペースまでプランニングしました。
現場は築60年以上の古民家。構造補強や屋根、雨仕舞。水道、ガス、電気の引き込みなど、設備工事にコストが想像以上かかるため、過度なデザインは排除し、核となるデザインプロポーションを固めました。
今まで幾度となく繰り返して来た、設計・施工の基本的な造形とプラスし、今回は、自分自身がデザインできる限り、色と素材を多く使う事にこだわりました。
安易にコンセプトカラー、コンセプト素材を定めるのではなく、料理の邪魔にならない色と素材。
サービスマンや料理、そしてそこで楽しむお客様、それら全体を包み込む器として建築をとらえ、多くの色と素材でデザインしました。
例えば、カウンターイス。
並列したすべてのイスの張地が微妙なグラデーションになっていて、デザインされたパイピングも一色ずつ違っています。
そしてその後ろに隣接する格子席のイスも違った形、違った張地で製作されています。
奥のサロン席も同様に、全て違った形状のイスに異素材の張地を張っています。
また、スタンディングバールのビッグテーブル、カウンターやサロン席のテーブルも全て違った材質の無垢材を用いて、全て違った加工方法で熟練の木工アーティストが仕上げています。
外観や内部壁面や天井の仕上げ、また塗装の色までも全て違った素材でデザインしました。
そしてそれらを演出する照明器具もブースごとに全て違った器具で設計しています。
その100種類を軽く超えるそれらすべての素材の調和が、今回のテーマの全てでした。
欲を言えば、完成時と自分のイメージがズレ無い事。
解体後のスケルトンの段階で全て発注しないと間に合わない工期だったので、完成形に近づくにつれヒヤヒヤしていましたが、棟梁を始めとするチームのみなさんのがんばりのおかげでイメージより良く仕上がった様に思います。
自分が20代前半に憧れた国内外の先人の設計した建築。
それとは逆行する現代の塗り絵の様なチープデザイン。
色んな思いが混じりながらの数ヶ月でした。
今のチームで仕事して10数年。
だからこそできる、今の自分の精一杯の形。
言葉にする事は難しいのですが
どっかで、誰かに伝わればと。
苦心しながらも心の底から楽しんでプロジェクト推進することができました。
今までのキャリアの良い区切りになりました。
そして、ご協力頂いたチームの皆さん、応援頂いた方々、本当にありがとうございました。
最後にこの素敵なチャンスを与えて下さった阿吽亭のマスターに感謝の形とさせて頂きます。
今後、この地域で芽吹く新しい息吹の先駆けとなる事を心よりお祈り申し上げます。
改めまして『trattoriw auntei』オープンおめでとうございます!
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